日本DMORT編:「家族(遺族)支援の手引き(2021年COVID-19対応)」配信にあたってのメッセージ

2021年5月17日

 新型コロナウイルス感染症の拡大は衰えをみせず、医療現場は危機的な状況に陥っています。医療の需給バランスが崩れ、本来なら救える命を失うという状況が発生しており、これはまさに災害です。疾病に由来する災害は歴史的には知られておりますが、私たちが実際に経験するのは初めてのことです。現場で対応に当たっている関係者、特に亡くなった方の家族対応に当たる方々には課題が多いことと思います。
 このような状況を踏まえて、日本DMORTは村上副理事長を中心に「手引き」を作成しました。第一線で活動されている方々への助けになればと願っています。

(一社)日本DMORT 理事長 吉永和正

 
 
 現在、特に大阪府・兵庫県では医療の逼迫状況が続き、入院診療が難しい患者様とご家族に第一線で対応されている行政職員・保健所の職員の皆様のストレス状況はいかばかりかと、いてもたってもいられない気持ちでこの「手引き」を作ることにいたしました。神戸市保健所には既に届けましたが、今後全国でも同じような状況が万が一起こってはと思い「第2版」を広く配信することにいたしました。ただ、通常からご遺族の思いに寄り添った診療を行うべき心療内科医の立場として、ご遺族にとっては、こうした行政・保健所・病院に対して複雑な思いがあることは十分理解しているつもりです。よって、ご遺族の目にとまるようなホームページ上での公開は避け、当法人の事務局メール(information@dmort.jp)宛にご連絡いただければ、個々にメールで送らせていただくことにいたしますので、行政職員・保健所の職員の皆様、医療福祉関係者の皆様、ご連絡いただければ幸いです。
 なお、ご遺族向けのリーフレットは、当法人の黒川雅代子理事が代表を務める「関西遺族会ネットワーク」で作成したものがありますので、当法人ホームページからダウンロードしてご活用ください。既に印刷済みのリーフレット送付ご希望の場合は、関西遺族会ネットワークにお問い合わせください。
 最後に・・・・25年間、災害医療に携わってくる中で、被災地の支援者が疲弊して過労死・自死にいたることを残念ながら見てきました。厳しい状況が続く中、支援者の皆様の心身の健康が損なわれては、住民のサポートもできません。どうか、ご自身のセルフケアを大切にしていただくよう、心からお祈りいたしております。

(一社)日本DMORT 副理事長 村上典子